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​災害資料集

日本国内や群馬県内で発生した近年の災害の概略を紹介しています。

1995年1月 阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)

1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部地震(マグニチュード(M)7.3)が発生、死者6,434人を出す大災害(阪神・淡路大震災)となった。大都市の直下で活断層が活動して起きた地震だったため、神戸・芦屋・西宮・宝塚など、大規模な災害をもたらした。死者の約8割以上が、木造住宅などの倒壊による圧死や窒息死であった。また、地震の発生が真冬の早朝で、多くの人が自宅にいたため、人的被害を大きくした。

​出典:神戸市

2000年3月 北海道有珠山の噴火

2000年3月27日から火山直下の地震が頻発しはじめ、29日に気象庁から「緊急火山情報」が発表された、日本ではじめて噴火の直前予知に成功した噴火である。一連の噴火によって、大量の噴石が街を直撃し、​マグマの流出により多くの建物が飲み込まれていったが、緊急火山情報により噴火前に住民の避難が完了していたため一人の死者も出ることがなかった。

2000年6月 三宅島の噴火

2000年6月27日に始まった三宅島の噴火は、7月8日から雄山の山頂噴火に移行するとともに山頂部が陥没を始め、最終的には直径1.5㎞、深さ500mの小規模なカルデラを生じた。山頂噴火はその後も続き、8月18日には噴煙が15㎞の高さにまで達する大噴火となり、29日には低温の火砕流も発生、この事態を受け東京都は9月1日に避難指示を発令、全島民約3,800人が本土へ避難した。

​出典:三宅島観光協会

2004年10月 新潟県中越地震

2004年10月23日、新潟県中部地方に地震発生。地震の規模はM6.8、典型的な内陸直下型地震であった。震源の深さが約13㎞と浅かったため、地表は激甚な揺れに見舞われ、川口町(現長岡市)で震度7、小千谷市、山古志村(現長岡市)、小国町などで震度6強を観測した。震源地を中心に、多数の建物が倒壊し、ライフラインも切断された。道路も各所で損壊して交通路が途絶し、上越新幹線「​とき325号」が脱線した。地震による死者は、関連死を含め68人を数えた。住家被害は、全壊家屋3,175戸、半壊13,810戸となった。(2009年10月21日総務省消防庁による)

2011年3月 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)

2011年3月11日、東北地方の太平洋沖を震源にして、M9.0の超巨大地震が発生した。「東北地方太平洋沖地震」と命名されたこの地震は、日本で近代的な地震観測が始まってから最大規模の地震であった。この地震によってもたらされた災害のことを「東日本大震災」と呼んでいる。従来想定されていた6つの地震域が次々と連動して断層破壊を起こしたために発生したものであり、破壊された断層の面積は、南北500㎞、東西200㎞に及んだ。その結果、青森・秋田・宮城・福島・茨城・千葉各県の沿岸部は、山のような大津波に襲われ、未曽有の大災害となった。岩手県から宮城県、福島県にかけての沿岸市町村では、海に面した平野部の街並みすべてが失われるという惨状を呈した。死者・行方不明者は災害関連死を含め約2万2000人を数えている。沿岸を襲った津波の高さは、高いところで10mから15m以上に達しており、岩手県宮古市の重茂姉吉地区では40.4mの遡上高を記録した。国土地理院の分析によると、津波による浸水地域の面積は443平方キロメートルに及んだ。

また、大津波が福島第一原子力発電所を襲い、水素爆発や炉心溶融を発生させ、放射性物質が大気中に放出されたため、周辺市町村の住民は安全な地域への非難を余儀なくされ、長期にわたる避難生活を送ることとなった。各地で火災も発生し、総務省消防庁によると、その数は東北から関東にかけ325件とされている。地盤の液状化も多大な被害をもたらした。千葉県浦安市や習志野市を始め、東京湾沿岸部だけでも、東京ドーム900個分に当たる約4200ヘクタールで液状化が発生、住宅の被害は関東地方だけで約1万7000棟に達しており、「世界最大規模の液状化」であったという指摘もある。M9.0の超巨大地震による未曽有の災害は、沿岸市町村に壊滅的被害と数えきれないほどの人命の損失、大量の避難者の発生と避難所での厳しい環境や医療体制、避難に伴う地域コミュニティの崩壊、水や食料、生活用品の不足、ガソリンの供給をはじめとする物流の停滞、さらには深刻な原子力発電所の事故と、後手にまわった危機管理のあり方など、防災上多岐にわたる課題を残した。

2014年7月 8月豪雨と広島土砂災害

2014年7月30日から8月26日にかけて、台風12号、11号及び秋雨前線と暖湿流(暖かく湿った空気)の断続的な流入により日本の広範囲で豪雨が発生した。京都府福知山市に大規模な洪水災害をもたらし、兵庫県丹波市や広島県広島市に大規模な土砂災害をもたらした。8月20日未明に局地的な短時間大雨によって、広島市安佐北区と安佐南区などの住宅地後背の山が崩れ、同時多発的に大規模な土石流が発生した。被害は山沿いの15㎞にわたる範囲を中心に発生し、107件の土石流災害と、約59件のがけ崩れ災害が発生し、山沿いの住宅地では、死者74人(災害関連死を除く)、全・半壊家屋255棟の被害となった。この災害では、避難勧告や避難所設置の遅れが指摘されている。

2014年9月 御嶽山噴火

2014年9月27日、長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山が噴火した。最初の噴火では江地温の火砕流も発生し、加工南西側の地獄谷を約3㎞、火口北西側の尺ナンゾ谷にも流れ下ったことが観測された。降下した火山灰を構成する粒子は大部分が変質岩石で構成され、マグマ由来の成分は検出されていないため、単なる水蒸気噴火と分析されている(水蒸気噴火とは地下のマグマの熱が地下水に伝わり、地下水が一気に気化して起きる噴火のこと)。死者数は戦後最悪の58人、行方不明者5人(2016年9月現在)となった。被害が大きくなった原因は以下の3つがあげられる。

1. 御嶽山は山岳信仰などで知名度が高かったのに加え、日本百名山にも選ばれて

  おり、登山ブームもあり登山者が増えていた。噴火した時間帯が11時52分で

  昼食を取ろうと多くの登山者が山頂付近にいたため、多くの被害者が出た。

2. 9月に入り火山活動に変化があったことについて、情報が自治体止まりとな

  り、一般登山者への情報提供が不足していた。

3. 山頂は山小屋と社務所のみで、シェルターなどの避難施設がなかった。

​被災者の救出や捜索活動は、噴火の継続や火山ガス、台風による大雨、凍結や降雪に阻まれ困難を極めた。

2016年4月 熊本地震

2016年4月14日、熊本県熊本地方を震源とするM6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7を観測、さらにその約28時間後の4月16日には、同地方を震源とするM7.3の地震が発生し、熊本県益城町と西原村で震度7を観測した。内陸型(活断層型)地震でM6.5以上の地震の後にさらに大きな地震が発生したこと、一連の地震活動で震度7が2回続けて記録されたことは観測史上初めてのことであった。一連の地震による人的被害は、死者数272人(2019年4月12日現在。内閣府による)にのぼったが、このうち直接死は50人で、222人が関連死であった。直接死の4倍もの関連死が生じていることは、避難所のあり方や災害者支援のあり方に大きな課題を投げかけた。さらに最大で約20万人が避難所の生活を余儀なくされた。建物の被害は

、住宅の全壊8,369棟、半壊3万2,478棟、一部破損14万6,382棟のほか、325棟の公共建物、4,327棟のその他建物が被災し、火災も15件発生した。土石流・地すべり・がけ崩れなどの土砂災害は計190件発生、国管理河川では6河川172か所で堤防等が被災、都道府県・政令市管理河川では48河川322か所で河川管理施設が被災した。ライフラインの状況は、電力は最大47万7,000戸が停電、ガスは最大10万5,000戸が供給停止、水道は最大44万5,857戸が断水、交通網も道路・鉄道・空路が一時不通となるなど大きな被害となった。

2017年7月 九州北部豪雨

梅雨前線や台風3号の影響により、2017年7月5日から6日にかけ、九州北部地方で記録的大雨となった。6月30日から7月10日にかけての1時間の最大雨量は福岡県朝倉市で129.5㎜、大分県日田市で87.5㎜を記録した。人的被害は福岡県で死者33人、行方不明者5人、大分県で死者3人、広島県で死者2人にのぼり、住家被害は全壊276棟、半壊1,066棟であった。特に大量の流木が発生したことが災害規模を拡大した。災害後、国土交通省が過去の災害時における流木量と比較したところ、過去最大級の流木災害だったことが明らかになった。

2018年6月 大阪北部の地震

2018年6月18日、大阪府の北部を震源とするM6.1の地震が発生した。震源の深さ13㎞の都市直下型地震であった。大阪市北区、高槻市、牧方市、茨木市、箕面市で震度6弱を計測した。この地震により、大阪府内で死者4人、住家の全壊9棟、半壊87棟を数え、大阪市で3件、尼崎市で4県の火災が報告されている。この時の災害で特に注目を集めたのが、ブロック塀の倒壊により犠牲者が出たことである。この災害を受け全国的にブロック塀の安全点検が実施されることとなり、2018年11月、国は避難路の沿道にある一定規模以上の既存不適格ブロック塀等の耐震診断を義務付けることとなった。

2018年7月 西日本豪雨災害

2018年7月5日から8日にかけて、西日本を中心に記録的豪雨が降り続き、大災害をもたらした。気象庁の分析によると、①日本の北にあるオホーツク海高気圧と、南にある太平洋高気圧の勢力がそれぞれ強かったため、その間に挟まれて停滞した梅雨前線が強化されたこと、②対流活動が盛んになっていた東シナ海付近からの南東風と太平洋高気圧の西縁を回って吹き込む南風とが西日本付近で合流して大量の水蒸気をもたらしたことが記録的豪雨の原因とされている。各地で観測された記録的豪雨の結果、西日本を中心に河川の氾濫や洪水、斜面崩壊による土砂災害が多発し、237人の犠牲者と住家の全壊6,767棟を数える大災害となった。岡山県倉敷市真備町では、小田川の堤防が決壊して広範囲に浸水、真備町だけで51人の死者がでた。合流先の高梁川の水位が上昇したため、水が堰き止められて支流の水位が急激に上昇する「バックウォーター現象」が発生した。広島県でも各地で土砂崩れによる被害が相次いだ。とりわけ被害を拡大したのは、土石流や斜面崩壊による土砂災害であった。こうした土砂災害の中で、特に注目されたのは「コアストーン」と呼ばれる花崗​岩の岩塊が土石流とともに住宅街を襲って家屋を倒壊し、被害を大きくしたことである、広範囲にわたった西日本豪雨は、平成になってから最大規模の災害をもたらした豪雨と位置づけられた。

2018年9月 北海道胆振東部地震

2018年9月6日、北海道胆振地方東部を震源にしてM6.7の地震が発生した。震源の深さ37㎞の内陸直下型の地震であった。この地震により、勇払郡厚真町で震度7、安平町、むかわ町などで震度6、札幌市内でも一部で震度5強~6弱を観測した。北海道内で震度7が観測されたのは初めてのことである。この地震によって、死者42人、軽重傷者762人、住家の全壊462棟を数えた(2019年1月28日現在)。地震のあと、離党を除く北海道道内のほぼ全域に当たる約295万戸で停電(ブラックアウト)が発生、市民生活に甚大な影響が出た。この地震では大規模な土砂災害が発生した。ほぼ​13㎞四方という広範囲にわたって表層崩落が発生し、厚真町の吉野地区などで多くの家屋が大量の土砂に埋まった。厚真町だけで36人の死者がでている。

2019年10月 令和元年東日本台風(台風19号)

2019年10月6日にマリアナ諸島の東海上で発生した令和元年東日本台風(以下、台風19号)は、10月12日に大型で強い勢力を保ちながら伊豆半島に上陸したあと、関東地方を通過して、13日未明に東北地方の東海上に抜けた。この台風は平年よりも高い海水温(28~29度)の領域を通過してきたため、猛烈な勢力に発達した。台風本体の雨雲がかかる前から大量の水蒸気が流れ込み続け、雨雲を発達させた。その後さらに、台風本体がもたらした雨雲や台風周辺の湿った空気の影響で、関東甲信越地方や東北地方を中心にして、広範囲にわたる記録的な大雨となり、甚大な災害をもたらした。10月10日からの総雨量は、関東甲信と静岡県の17地点で500㎜を超え、神奈川県箱根町では1000㎜にも達しており、各地で観測史上1位を値を更新する豪雨が降り続いた。その結果、17の河川、128か所で堤防が決壊し、92万棟が浸水するなどの被害が生じた。なかでも信濃川の上流にある千曲川では、長野市穂保地区で左岸側の堤防が70mにわたり決壊し、付近の住宅や学校、医療機関などが浸水した。北陸新幹線の車両基地では、車両10編成が水につかるという事態となった。宮城県丸森町では、本流の阿武隈川と支流の新川や五福谷川などに挟まれた一帯が大規模に浸水したが、これは新川の堤防が「バックウォーター現象」によって決壊したためであった(バックウォーター現象とは、大量の降雨によって本流の水位が上昇したため支流の水が本体に流れ込むことができず、逆流して氾濫する現象である)。​また、東京都と神奈川県の間を流れる多摩川でも、上流域で記録的な降雨となったため、本流の水位が上昇しバックウォーター現象が起きて氾濫浸水、マンション1階に住む男性1人が死亡した。豪雨による土砂災害も多発し、11月6日現在、20都県で820か所以上の土砂災害が確認された。神奈川県相模原市では、山間部96か所で土砂崩れが相次ぎ、特に同市緑区では16か所で斜面が崩落して死者が出た。台風19号とその後も続いた大雨による農産物の被害は38都道府県に及んだ。農地の被害は2万5,000か所を超え、農林水産業の被害額は3,446億円を超えた。

2020年7月 令和2年7月豪雨

2020年7月は、長期にわたって梅雨前線が本州付近に停滞し、大量の暖湿流が西日本から東日本にかけて集まりやすい状況が継続した。そのため広範囲で記録的な大雨が降り続き、各地で大規模な人的・物的被害が発生するにいたった。7月3日から8日にかけては、前線の活動が活発化したため、特に九州では4日から7日は記録的な大雨となり、多数の線状降水帯が発生した。梅雨前線が上下したことにより、九州を襲った豪雨は、観測史上最大となる降水量を各地にもたらした。特に被害が大きかったのは、熊本県を流れる球磨川水系で、八代市、芦北町、球磨村、人吉市、相良村の計13か所で決壊・氾濫した。球磨村にある特別養護老人ホーム「千寿園」では、一部施設が浸水したため、入所者14人が水死した。千寿園のある球磨村渡地区では、浸水深が9mにも達したといわれている。気象庁は、今回の一連の大雨については、地球温暖化の進行に伴う長期的な大気中の水蒸気の増加によって降水量が増加した可能性があることを指摘している。

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